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レポート

第6回 NEW CONFERENCE
女性経営者等の活躍に向けた会議 ~女性社長が動かす東京の未来~

分科会2:資金調達に向けた事業計画書の書き方
エクイティファイナンスの特性を見極め、
事業の魅力を伝える

「資金調達に向けた事業計画書の書き方」について語り合う分科会では、登壇者の自己紹介をはさみながら、進行を務める株式会社A&I代表取締役岡美智子氏が本日の登壇者の共通点ともいえる「エクイティファイナンス」や、「スモールビジネスとスタートアップの違い」について参加者へわかりやすく解説。会場参加者に挙手を求めたところ、エクイティファイナンスを考えている人が半数ほどいるとわかり、驚く場面もありました。

スモールビジネスと比較すると、“預かる”資金が桁違いに大きいスタートアップ。岡氏は登壇者に、リスクも大きいこの起業スタイルを選んだ理由を問いました。
見積依頼プラットフォーム「ミツモア」と現場仕事のオールインワン業務支援SaaS「MeetsOne」の2事業を主に手掛ける株式会社ミツモア創業者兼代表取締役CEOの石川彩子氏は、「ミッションが壮大なので、スモールビジネスでは数十年かかってしまう。『時間をお金で買う』しかなかったし、シリコンバレーで働いていたのでそれが当然だった」といいます。
美容メディア「DINETTE」・コスメブランド「PHOEBEBEAUTYUP(フィービービューティーアップ)」・フェムケアブランド「LUMEREBEAUTY(ルメールビューティー)」を運営するDINETTE株式会社代表取締役の尾﨑美紀氏は、登壇者で最も若い20代。学生時代にインターンとして関わったスタートアップ企業が見事イグジットを達成するなど、「起業して以来出会う方々がほとんどスタートアップ」という環境が大きかったそう。
訪日外国人旅行者向け観光プラットフォームサービス「WAmazing」を手掛けるスタートアップ企業WAmazing株式会社代表取締役CEOの加藤史子氏もまた、「短期間で巨大市場に成長したインバウンドビジネスに追いつくには、時間をお金で買うしかなかった」と語ります。

こうしたスケールの大きさからくる「スタートアップは大風呂敷を広げる」といったイメージに反し、「すごく堅実だね」と言われたことがあるという石川氏。まず、アメリカの統計では、女性起業家は効率よく資金を使うことができる反面、男性起業家よりも資金調達額が少ないのだそう。これについて石川氏は「女性のほうが大風呂敷を広げるのを躊躇するというか、確実にいけるラインで物事を語る傾向があるのでは」という考察を述べます。加藤氏はこれを受けて「エクイティファイナンスは大きなリターンを求める代わりに多少の失敗も許容できる。銀行融資はリターンが小さいので、より堅実でなければ貸せない。ビジネスモデルも目線もまったく違う」と、「お金を出す側の目線」を解説します。

話題は「VC(ベンチャーキャピタル)やエンジェル投資家へのアプローチ法」へ。石川氏は「一人でもいいからスタートアップ業界の知り合いをつくって、そこからリファラルをたぐり寄せていくのがいい」といいます。加藤氏もそれに賛同しつつ、自身が事業計画をプレゼンテーションするピッチコンテストで優勝したことを挙げ「事業の魅力をアピールして、向こうからオファーをいただく」方法を紹介。尾﨑氏もメディア出演がきっかけでVCから問い合わせを受け「若い世代のミッションやビジョンにすごく共感してくれるVCだったので、実績がなくても可能性を感じて出資していただいた」と経験を共有していただきました。

それでもトントン拍子ではなく「私は経歴がない状態での学生起業で、信用力がマイナスの状態からスタート。熱い思いがあっても、まだ成果が出ていないと『起業ってお遊びじゃないんだよ』とか『女性だし出産や育児で辞めちゃうでしょ』とか『長く続けてる女性経営者って少ないんだよ』と言われた」と尾﨑氏。
マイナスから信用力を培ったポイントを「出資を断られたVCに対してもよく進捗の報告をしていた」からではないかと岡氏が指摘すると、尾﨑氏はコミュニケーションを続けることで2年越しに出資に至ったVCがあると明かし、「代表が何よりも熱い想いを伝え続けるのは、(事業を)成長させていく上で必要不可欠」だとまとめました。

ここで岡氏は、登壇者の共通点として「自分より優秀な人をいかに巻き込むか」という考え方を挙げます。加藤氏は「自分にない部分で助けてもらったり、応援してもらったりできる『かわいげ』は、男女問わず必要だと思う。女性は上手に他者を頼ったり、尊敬したりできる傾向があるので、チームをつくるのが得意なんじゃないか」という見解を述べました。しかしその一方で、コロンビア大学の研究による「仕事の能力やアウトプットの素晴らしさは、男性の場合好感度と正比例するが、女性の場合反比例する」...つまり、仕事のできる女性は個人的な印象が悪くなりやすいという結果を取り上げ、「悲しい実験結果ですけど、知っていることはひとつ力になる」と女性たちを後押ししました。

あわや質疑応答の時間も無くなるか、というほど白熱したこのセッション。華やかなイメージも強いスタートアップの女性経営者が、時にはしたたかに、また泥臭く資金調達している様子に感じ入った参加者も多かったのではないでしょうか。

石川 彩子
株式会社ミツモア
創業者 兼 代表取締役CEO

1984年生まれ、東京都出身。ベイン・アンド・カンパニーでのコンサルタント経験を経て、渡米。シリコンバレーのECスタートアップ・Zazzleで開発管理や経営管理業務に従事。帰国後、日本のGDP向上を目指しミツモアを創業。
東京大学 法学部卒 ペンシルバニア大学ウォートン校MBA取得。
日本スタートアップ大賞2023にて経済産業大臣賞(ダイバーシティ賞)、第22回「Japan Venture Awards」にて地域貢献特別賞を受賞。

加藤 史子
WAmazing株式会社
代表取締役CEO

慶應SFC卒業後、リクルートにてインターネットでの新規事業立ち上げに携わった後、観光産業と地域活性のR&D部門じゃらんリサーチセンターに異動。主席研究員として調査研究・事業開発に携わる。
2016年7月、訪日外国人旅行者による消費を地方にもいきわたらせ、地域の活性化に資するプラットフォ-ムを立ち上げるべくWAmazing株式会社を創業。
2年半以上に渡るコロナ禍期間中を乗り越え242名(2023年9月1日時点)の組織で、日本のナンバーワン外貨獲得産業になりうるインバウンド市場で日本経済の再興・地方創生を実現するプラットフォームサービスを作るべく挑戦中。

尾﨑 美紀
DINETTE株式会社
代表取締役

1993年生まれ。名古屋出身。大学在学時に芸能活動を行い、美容に触れる機会が増え自身も興味を持ち始める。
就職活動で大手企業から内定を貰うが、自分のやりたいことのために起業を選択し2017年3月に大学卒業と共にDINETTE株式会社を設立。
美容メディア「DINETTE」・コスメブランド「PHOEBE BEAUTY UP(フィービービューティーアップ)」・ フェムケアブランド「LUMERE BEAUTY(ルメールビューティー)」を運営。
2020年4月には「Forbes 30 under 30 Asia(Retail&Ecommerce部門)」 に選出。

岡 美智子
株式会社A&I
代表取締役

石川県出身。立命館大学卒業。 在学中に UBC(ブリティッシュコロンビア大学、カナダ)に留学。 卒業後は、スターバックスコーヒージャパンに入社、新店舗立ち上げ、人材育成等を経験後、P&G、アストラゼネカ、医療機器メーカー、薬事コンサルと外資系企業で経営企画、マーケティングに携わる。
スターバックスコーヒージャパンでストックオプションを得たことがきっかけで始めた株取引の趣味が高じて、独立後に株スクールの講師を務めたのち、2020年2月株式会社A&Iを創業。
「エンジェル投資家の存在が当たり前の社会に」を掲げ、起業家やベンチャーの志を投資家に繋ぐコミュニティを運営。
iU(情報経営イノベーション専門職大学)客員教授

開催日時 2022年11月20日(月)13:00-18:10
会場 【リアルイベント】
東京国際フォーラムD7・G404・G405・G407・G408(東京都千代田区丸の内3丁目5−1)
【ライブ配信(オンライン)】
ZoomとYouTubeによるライブ配信
対象 企業・団体の代表者、経営者層、個人事業主など(男女不問)
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