東京都女性経営者会員登録はこちら

Follow us

  • Facebook

レポート

第6回 NEW CONFERENCE
女性経営者等の活躍に向けた会議 ~女性社長が動かす東京の未来~

トークショー:ポストコロナ時代の経営戦略
コロナ禍で経験した逆境をばねにして
マーケットを“日本”から“世界”へと広げていく

「ポストコロナ時代の経営戦略」と題したトークショーでは、コロナの影響が特に大きかったことが想像されるインバウンド業・飲食業・宿泊業に携わる3人の女性経営者たちが登壇しました。進行を務めるのは、株式会社スードリー(SUDELEY)代表取締役である前田有紀氏。テレビ朝日でアナウンサーを務めた後、花や植物に関する商品の企画・制作・販売、コンサルティング業務を行う同社を設立し、多方面で活躍しています。

最初のテーマは「コロナ禍における経営」。2016年に訪日外国人旅行者向けオンライン旅行予約プラットフォームの展開をスタートしたWAmazing株式会社 代表取締役CEOの加藤史子氏は「本当に大変でした」と当時を振り返ります。「日本にコロナの感染が広がり始めたのが2020年2月頃。訪日旅行者が来なくなり、売上が98%ぐらいダウンしました」
旅行業界と同様に、ステイホームの影響で大きなダメージを受けたのが飲食業界。2012年に京都で、ランチ営業のみ1日100食限定の国産牛ステーキ丼専門店「佰食屋」を立ち上げた株式会社minitts 代表取締役の中村朱美氏も声を上げます。
「席数を減らさなければならない、お酒は出せないなど、稼ぐ手段がすべて制限されてしまうようなつらい3年半でした。ちょうど全国フランチャイズ展開を計画していたところでしたが、頓挫。京都市内の4店舗のうち3店舗を閉店し、1店舗にしてでも続けるという決断をしました」

ホテル業界も例外ではありません。1986年創業の株式会社東横インを父から継いだ、代表執行役社長の黒田麻衣子氏は「コロナが広まったのは創業から35年目のことでした。2020年3月に単月の稼働率が半分に落ち込むという状態になり、翌4月からの2021年度は初めて通期の赤字になりました」と当時の苦しい状況を話します。
三者三様なれど、いずれも前例のない困難な状況をどのように乗り越えたのでしょうか。加藤氏は「やったことはシンプルに、徹底的なコストダウン、資金調達、新規事業の立ち上げの3つです。2020年11月に8億円の資金調達ができたので、その資金で地域観光DX事業と訪日マーケティングパートナー事業を立ち上げ、新しい売上をつくり、現在も成長を続けています」と語ります。
中村氏の店舗がある京都はインバウンドが復調の兆しを見せていますが、現場の感触はどうなのでしょうか。「光熱費や原材料費が上がっているので、復活できたかというと8割ぐらいですね。実は、集客をすることがリスクだったコロナ禍に始めたおにぎりの物販が、現在は会社の2本目の柱に成長しています。常温で100日保存できる高タンパクのおにぎりなので、フードロスの解決にも寄与できます」と中村氏。
黒田氏は、業績が落ち込んだ時に社員のたくましさを感じたといいます。「コロナ禍初期は海外からの帰国者を受け入れないホテルが多数ありましたが、当社は旅館業法にもあるように、明確に感染者と判明していない限り宿泊を受け入れることにしました。社員たちも“もちろんです、そうしないと会社が潰れてしまう”と賛同してくれたんです」
その後、東京都では軽症者の宿泊療養の受け入れが全国に先駆け開始され、先陣を切ることになった東横イン。経営の危機を脱することができたと振り返ります。

最後のテーマは「今後の経営戦略、自身のチャレンジ」。コロナ禍で経験した逆境をばねに3人の女性経営者はどのような未来を描くのでしょうか。
「日本発のインバウンドのオンライントラベルエージェントで、特に東アジア中華圏の個人旅行者と日本の素晴らしい観光資源をマッチングするサービスとしては、最大になっていけるんじゃないかと思っています。日本は世界に冠たる観光立国になると思うので、その一助になるようなプラットフォームサービスを展開する企業になっていきたいです」と加藤氏は胸を張ります。
中村氏も“日本の持つ価値”に期待を寄せます。「日本の飲食の技術は、世界的に見てもとても高いものがあります。その技術で、フードロス解決につながる日持ちのする美味しいものを作り、海外に輸出できないかと画策しているところです。店舗数を増やさず小規模なお店を維持しながらも売上を伸ばすという、ロールモデルや道筋をつくっていけたらと思い、商品を研究中です」
黒田氏は、日本の人口が減少するなかで新たなホテルの在り方を模索していると話します。「コロナ禍前と比較し、ビジネスのお客さまは100%まで戻らないと思っています。そこの穴を埋めるのがまさにインバウンドです。日本は何度も訪れていただける国なので、ビジネスの方もインバウンドの方も一人ひとりのお客さまをリピーターにする努力をしていきたいです」。同社は今後、国ごとに細かく合わせたマーケティングをしていく方針を掲げています。

3人の未来への言葉を聞いて「これまでよりもっと世界に向けて展開していかれるということですね」と締めた前田氏。コロナ禍を生き抜いた今、日本にとどまらず、世界を相手にビジネスを広げていこうとする女性たちのエネルギーに満ちあふれたセッションでした。

加藤 史子
WAmazing株式会社
代表取締役CEO

慶應SFC卒業後、リクルートにてインターネットでの新規事業立ち上げに携わった後、観光産業と地域活性のR&D部門じゃらんリサーチセンターに異動。主席研究員として調査研究・事業開発に携わる。
2016年7月、訪日外国人旅行者による消費を地方にもいきわたらせ、地域の活性化に資するプラットフォ-ムを立ち上げるべくWAmazing株式会社を創業。
2年半以上に渡るコロナ禍期間中を乗り越え242名(2023年9月1日時点)の組織で、日本のナンバーワン外貨獲得産業になりうるインバウンド市場で日本経済の再興・地方創生を実現するプラットフォームサービスを作るべく挑戦中。

中村 朱美
株式会社minitts
代表取締役

1984年京都府亀岡市生まれ、京都教育大学卒。専門学校の職員として勤務後、2012年9月に飲食事業や不動産事業を行う「株式会社minitts」を設立。
1日100食限定をコンセプトに、美味しいものを手軽な値段で食べられるお店「佰食屋」を行列のできる人気店へ成長させる。
「1日100食限定」というお客さまにも従業員にもそして環境にも優しい経営の実現により、第32回人間力大賞農林水産大臣奨励賞、ForbesJAPANウーマンアワード2018新規ビジネス賞、日経WOMANウーマンオブザイヤー2019大賞等数々の賞を受賞。
コロナウイルスの影響により大きな打撃を受けたものの、ピンチをチャンスに変える新規事業への取り組みにより、石井食品株式会社と共同開発で新商品「イシイの佰にぎり」という新商品を生み出すことに成功し、2023年同社の社外取締役に就任。この不安定な世の中での決断力と行動力が注目される。

黒田 麻衣子
株式会社東横イン
代表執行役社長

聖心女子大学を卒業後、立教大学大学院でドイツ近代史を専攻。父、西田憲正氏が創業した株式会社東横インに2002年入社。
出産・育児のため退社後、2008年に 副社長として復帰し、2012年に社長就任。
社長就任10年目となる2022年、新ブランドコンセプト「全国ネットワークの基地ホテル」を掲げて ブランド再構築を宣言し、ビジネスホテルのパイオニアとして、さらなる進化を目指す。
2020年 毎日新聞社主催「第40回毎日経済人賞」受賞。

前田 有紀
株式会社スードリー
代表取締役

慶應義塾大学総合政策学部卒業。10年間テレビ朝日でアナウンサーとして勤務した後、2013年イギリスに留学。コッツウォルズ・グロスター州の古城で見習いガーデナーとして働いた後、都内のフラワーショップで3年の修業を積む。
「人の暮らしの中で、花と緑をもっと身近にしたい」という思いから2018年に株式会社スードリーを設立し、自身のフラワーブランドguiを立ち上げ、2021年4月に神宮前にNURをオープン。

開催日時 2022年11月20日(月)13:00-18:10
会場 【リアルイベント】
東京国際フォーラムD7・G404・G405・G407・G408(東京都千代田区丸の内3丁目5−1)
【ライブ配信(オンライン)】
ZoomとYouTubeによるライブ配信
対象 企業・団体の代表者、経営者層、個人事業主など(男女不問)
東京都女性経営者会員登録はこちら

Follow us

  • Facebook