レポート
「『プロダクト作り』『組織作り』『販路拡大』に、テクノロジーをどう活用するか」をテーマに話し合うセッションは、株式会社アドタグ代表取締役の淺場理早子氏が進行を務め、テック活用で先行する3名の女性経営者を迎えて行われました。
医療業界でSaaSプロダクトを提供するメディフォン株式会社代表取締役CEOの澤田真弓氏は、この3年間試し続けてきた新しいテクノロジーを紹介したいと挨拶しました。「世界に誇る日本の医療システムですが、先々までは支えられないと私たちも政府もわかっていて、どう新しいシステムに移管していけるかチャレンジしていると思っています」
20~30代の女性を対象としたキャリアスクール「SHE likes」を運営するSHE株式会社代表取締役CEO/CCO福田恵里氏は、在宅で時間や場所に縛られずに働けるWeb職種のスキル習得から就労まで、一気通貫で支援しています。「私と同じく、子育てと仕事を両立したい女性をこれからも支援していきたい」
AI活用による業務支援ソリューションなどを提供するAI CROSS株式会社代表取締役CEOの原田典子氏は、ドイツで育つなど海外経験が長いこともあり、日本とのビジネス文化のギャップを痛感したといいます。「ミッションは『スマートワークスマートライフ』。個性が活きる仕事で一人ひとりの生産性を上げていくことが、企業にとって最もパフォーマンスが上がるという思いが込められています」
最初の話題は、「プロダクト作り」。
電話でさまざまな言語の医療通訳を提供する「メディフォン」の通話システムをエンジニアと共に開発した澤田氏は、初期システムで履歴管理や録音データの取得が難しかったことから、基幹システム的なプロダクトへと進化させていったといいます。「AIの普及で音声データをテキスト化できるようになり、医療通訳の品質管理やトラブルの確認など、業務効率の向上が図れました」
女性向けのキャリアスクールを展開する福田氏は、無料でプログラミングやデザインのノウハウを学べるWeb動画も溢れるなかで、差別化ポイントは「女性は『そもそも何が好きか、何が向いているのかわからない』で立ち止まってしまう方が多いので、そこをマッチングするコーチング、伴走に力を入れている」点だといいます。診断ツールを活用したリコメンドや、コミュニティのマッチングなど、データ活用も取り入れて効率化を図っているそう。
アメリカで事業を買い取り、日本へ持ち込んで会社を立ち上げたという原田氏は「プロダクトは0から立ち上げるだけでなく、事業を買ったり、M&Aで会社を買ったりと、いろいろな手段がある」と言います。さらに「最新のテクノロジーがわからなければ、わかる人材を抱えておくのが大切」と言い、淺場氏も「市場のニーズに合わせて成長させていくには、あれもこれも自分でやろうとせず、最初から役割分担することが大事だ」と感心していました。
次の話題は、「販路拡大」です。
いわゆる「The Model」型の戦略で時間をかけて地道にやってきたという澤田氏は「分業するので『これは自分の仕事、これは他チームの仕事』という意識が出ないように、いかに有機的に各チームが関わるようにするかが、経営者としての頑張りどころ」だと言います。
この流れで組織拡大について問われると、「メディフォン」は少数精鋭でリスクを抱えながら進めてきたものの、健康管理システムの「メディメント」はバックエンド・フロントエンドの約30名体制で、経営目標を設定して開発チームをマネジメントしていると紹介。「当社のCTOはバックエンドの“鬼”なので、それに合わせてフロントエンドを充実させたら結果として両方強くなった。今やメディメントはUI・UXデザインで選んでいただけるまでになり『体制でここまで変わる』と私自身も学びました」
SNSを活用し、社員も巻き込んだブランディングで爆発的な熱量のユーザーコミュニティ形成を成功させたという福田氏。多種多様な職種のスタッフをどうマネジメントしているか問われると、「採用や組織開発ではとにかく失敗してきた」と言います。「『スキルに優れた人をうちのカルチャーに合わせて変える』のは無理だと学んだので、どれだけカルチャーフィットする人を採るかに一番こだわりを持っている。また、経営側になってSPI総合検査の精度の高さを知ったので、ポジションによっては採用に数値基準を設けています」
原田氏は「日本には『最初のお客さま』になってくれる会社がなかなかない。大手ほど『事例は?』と言われるので、最初は各業界のトップ企業に片っ端から当たって、1社目のお客さまを獲得するのにこだわりました」と言います。特に自治体の導入実績は評価が高く、また顧客数が増えるごとに成功確率も上がってくると語りました。
テクノロジーを味方につけ、プロダクト・組織・販路の可能性を広げる。経営者たちの熱意が交差したセッションでした。
日本で大学卒業後、北京・ロンドンへの留学を経て帰国。Google株式会社で広告営業として働いた後、2014年メディフォン事業をNPOで創業、2018年株式会社化し2022年11億円の資金調達を実行。「新しい多様な社会のための医療インフラをつくる」ことをミッションに、医療機関向け外国人患者受入れ支援のmediPhone(メディフォン)と企業向け多言語クラウド健康管理のmediment(メディメント)を開発、運営。日本医師会や厚生労働省、全国の88,000以上の医療機関や企業が利用する。2020年グッドデザイン賞(メディフォン)、2022年第4回日本サービス大賞優秀賞(メディフォン)及びHRテクノロジー大賞特別賞(メディメント)を受賞。東京外国語大学 外国語学部欧米第一課程英語専攻卒、インペリアルカレッジロンドン大学院経営学修士(MSc)修了。
大阪大学在学中、サンフランシスコ・韓国に留学。学生時代に初心者の女性向けのウェブデザイン講座を立ち上げ、300名以上が受講。2015年リクルートホールディングスに新卒入社し、ゼクシィやリクナビのアプリのUXデザインを担当。2017年4月、26歳の時に女性向けのキャリア支援を行うSHE株式会社を設立。主要事業である「SHElikes」は累計会員数14万名を突破。2020年に同社代表取締役CEOに就任。現在は二児の母。
幼少期をドイツで過ごし、慶應義塾大学を卒業後、ドイツ系ソフトウェア企業SAPに入社。
テクニカルコンサルタントとしてキャリアをスタートさせ、システム開発スタートアップ企業に転職。
2000年には同社のアメリカ法人設立のため渡米し、シアトル、サンノゼ、ニューヨークで約10年にわたり、ネットビジネス、IT企業との提携・アライアンス業務などに幅広く携わる。そのかたわら、ニューヨークで、富裕層をターゲットにしたワインビジネスを立ち上げ、日本、韓国向けに展開。その後、結婚、出産を機に帰国。AI技術を活用した企業向けメッセージングサービスやデータ分析サービスを提供し、2019年に東証グロース市場に上場。2021年にはCVCを立ち上げ、ベンチャー支援にも積極的に取り組む。EY Winning Women 2019 ファイナリスト及び特別賞、Forbes Japan Woman Award 2021 Refa特別賞受賞など。
新卒で新規事業の法人営業を経験したのち、横浜ゴムグループにて新規事業立ち上げに携わる。
2005年、ミクシィ入社、創業事業である求人プラットフォーム事業部長に就任しIPOを経験。
2009年、パーティードレスのシェアリング事業会社を起業。
2017年、新規事業開発研修や、新規事業に必要な”手を動かせる伴走支援”を行う目的で、株式会社アドタグを設立。「理論」と「実践」のバランスを重視した事業推進サポートを行う。
2021年4月、ベネッセの動画教育サイト「Udemy」にて、事業の立ち上げ方講座『起業家のリアルな経験から学ぶ! 新規事業担当者のための「はじめてのビジネスプランニング」』をリリース。
開催日時 | 2024年11月25日(月)13:00-18:10 |
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会場 | 【リアルイベント】 東京国際フォーラムB5・G502・G504・G505・G510(東京都千代田区丸の内3丁目5−1) 【ライブ配信(オンライン)】 ZoomとYouTubeによるライブ配信 |
対象 | 企業・団体の代表者、経営者層、個人事業主など(男女不問) |