レポート
株式会社ポーラ 前代表取締役社長の及川美紀氏は1991年に大学を卒業後、同社に入社。2020年に社長に就任し、現在まで「ポーラ一筋33年」という経歴の持ち主です。
「私と同年代の女性エグゼクティブは転職組が多いです。社長になった時に『よく一社でやってこられましたね』と珍しがられましたが、女性が男性と同じように一つの会社で昇進昇格していくことは厳しいという前提があるのでしょう。私は、それを打ち破りたいと強く思っています」と及川氏。
同社の従業員数は約1,300人と中堅規模でありながら、契約を結ぶ個人事業主は約23,000人におよびます。年齢層は22歳から90歳までと幅広く、経営を勉強してきた方たちではありません。「数万人の女性経営者を見てきて思うのは『女性は経営ができる』ということです」と長年の経験からの確信を伝えます。
「販売員から始めて、実践で学びながらショップオーナーになり、多店舗経営の組織長になり、月商数億円の人となっていく。何よりも大事なのは『やりたい』という思いです」と熱意を込めて語ります。
ポーラの経営理念である「私たちは、美と健康を願う人々および社会の永続的幸福を実現します」を読み上げ、では永続的幸福とは何だろうと問いかけます。「私」と「社会」の可能性を信じられる人が増え、その人たちがつながることでさらに可能性が広がりポーラの思う幸福に一歩近付くとし、このベースにDE&Iがあると位置付けます。
「なぜDE&Iに取り組むのか、理由は大きく二つです。一つ目はこれが人権の問題だからです」と続きます。「会社の業績や成果が、誰かの犠牲や我慢の上にあってはなりません。あなたらしくいられないということは、人権が侵されているということ。ノーハラスメント、ワークライフバランスの向上、さまざまな差別やバイアスの排除。これらを会社として必ず推し進めます」
二つ目は、一人ひとりの能力と可能性を高めて組織の中の生産性を高めること。すべての人の可能性を高めて個性が活躍できる世界が、私たちが目指すDE&Iだと語ります。
ここでスライドに映されたのは、男性経営陣たちの中央に一人の若い女性がいる写真です。「昭和37年、セールスマン募集の貼り紙を見て、上木寿栄子さんという20代後半の未経験女性が、『女ではあきまへんか?』と門を叩いた。これがポーラレディの始まりでした」。後に、この方はトップセールスを果たしポーラの営業所長になり、90歳過ぎまでご活躍されたそうです。
「まずはやってみようと動く勇気は、まさに“IWILL”ですよね。と同時に、経営陣はきっと追い返すこともできたのに、やってみなさいとサポートしたのです。知らない世界に飛び込む人がいて、それをサポートする人がいる。DE&Iってこういうことだと思える非常に大事な写真です」と話し、そんな会社を作っていきたいと展望を語られました。
偏見なしに誰かをサポートするためには、自身のアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)を取り除いていかなくてはなりません。及川氏はロールモデルを探しにいこうと誘い、ネットワーキングがその有効な手段になると勧めます。
「ロールモデルは年上の人だけではなくて、10歳20歳年下で頑張る人がリバースメンターになってくれることもあります。会社の中にいなくても、日本にはいるし、世界にはいます。外に目を向けると、ロールモデルってこんなにいたのかと思います」と、出会いの大切さを強調しました。
「私の個性活躍に至る道のりは、実はまだ3合目くらいです。皆さんとつながってさらに可能性を追求していきたいと思います」と、チャレンジすること、それをサポートすること、そしてネットワークそのものの可能性が示唆された基調講演となりました。
宮城県石巻市出身。東京女子大学卒。
1991年同社入社。子育てをしながら30代で埼玉エリアマネージャーに。2009年商品企画部長。12年に執行役員、14年に取締役就任。商品企画、マーケティング、営業などバリューチェーンをすべて経験し、20年1月より現職。(トータルビューティー事業本部長兼務) 誰もが自分の可能性をひらくことができる社会をミッションに、パーパス経営・ダイバーシティ経営を牽引している。
開催日時 | 2024年11月25日(月)13:00-18:10 |
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会場 | 【リアルイベント】 東京国際フォーラムB5・G502・G504・G505・G510(東京都千代田区丸の内3丁目5−1) 【ライブ配信(オンライン)】 ZoomとYouTubeによるライブ配信 |
対象 | 企業・団体の代表者、経営者層、個人事業主など(男女不問) |