レポート
4人の女性経営者たちが経験や知恵をシェアしていくトークショー。進行を務めるのは、株式会社イー・ウーマン及び株式会社ユニカルインターナショナルの代表取締役社長である佐々木かをり氏です。佐々木氏は企業のダイバーシティ進度を数値化する世界初の指標「ダイバーシティインデックス」を開発、日本最大級のダイバーシティカンファレンス「国際女性ビジネス会議」を企画・プロデュースするなど、多方面で活躍しています。
初めの質問は、社長としての「覚悟」。2014年1月よりCBSフィナンシャルサービス株式会社代表取締役社長を務める山田美穂氏は、破綻の危機に陥っていた同社を美容医療・健康分野に特化した信販会社に転換させ、再生を図りました。社長就任について打診された時には、「本当にびっくりしつつも、そんなふうに思っていいただけるならお応えしようと。正解は神のみぞ知るということで、それなら頑張る努力や時間は、決めた後の方に使った方がいいのかなと思いました」と、当時の覚悟を語ります。
2007年に美容皮膚科クリニック「ウォブクリニック中目黒」を開業し、現在は医療法人社団愛心高会の理事長も務める髙瀬聡子氏は、コロナ禍での決断を振り返ります。
「営業の継続を決断した時は、売上が半分になっていました。その時に、私は医者ではあるけれども、経営者でもあると初めて自覚を持って、東京都の女性経営者塾『経営基礎コース』で学んだのですが、もう目から鱗の連続。その時に経営者として、覚悟したという感じですね」
2022年2月、在宅療養を支えるソフィアメディ株式会社のCEOに就任した伊藤綾氏は、「会社のビジョンにコミットしようと覚悟しました」と語ります。
「会社のミッションが『英知を尽くして生きるを看る』。在宅医療なので、患者さんがどんな生活をしたいのかなども含めて看る、支えるという理念があります。誰よりもその理念を、ビジョンを実現する。そのためには何を乗り越えて、何を変えなきゃいけないかを必死にやろうと思ったんです」
「そうすると、自分自身の決断する力や精神力など、様々なものを磨いていく必要がありますね。この『学び続ける』とか『人とつながる』ことは、どんな工夫をされていますか？」と、佐々木氏が話題を掘り下げていきます。
経営基礎コースで学んだ髙瀬氏は、「私はコロナ禍という、人と接点を取りづらい時に覚悟を決めたということもあり、SNSを駆使してつながりながら経営的な学びを得ています」とのこと。まったく別の世界から医療業界へと飛び込んだ伊藤氏は、「制度、事業、お金、労務など、本当に勉強ですね。一方で社長になって気付いたのは、経営者の方は本当によく学ばれているということ。色々な勉強会で刺激を受けました」と答えます。社長に就任してから大学院で経営学を学んだ山田氏は、「会社の再生までは迷わなかったんですけれど、そこから先は自分の今後の決断に勇気を与えてくれる何かが欲しいなということで、大学院に入りました」と、当時を振り返りました。
佐々木氏は、オンラインで海外の講座を受けていると語ります。
「世界中のCEOや役員の人たちと、ケーススタディで学べます。時差のあるなかで海外の人とディスカッションすることも、脳のストレッチになりますね」
そこから話題は時間の使い方につながり、家事や子育てをしながらの社長業、会議の効率アップ、気持ちの切り替え方などへと展開していきました。
最後に、登壇者から女性経営者たちへメッセージが送られます。伊藤氏は「1企業や1業界だけでは社会課題は解決できません。みんなでつながる時代、寄り添う時代になっていると思います。一緒に課題にタックルしていけたら」、髙瀬氏は「小さなことでも何か一歩踏み出してみるということが、幸せに近づくということにもなり得るのかなと。みんなに支えられながら自分が前に出て、結果的に社会みんなを幸せにするという循環をつくっていければと思います」、山田氏は「大変なことに直面した時でも、それを楽しいと言えちゃう方が、色々なチャンスが来るのでは。ぜひ皆さん、人生を楽しんでいただきたいなと思います」と締めくくりました。
佐々木氏は、全く同じ事業計画書でも女性より男性の方が投資額が多いという調査結果を取り上げた論文に触れ、「アンコンシャスバイアスを意識して乗り越え、つながって、支え合っていけたら。山田さんがおっしゃっていた、何があっても『楽しい』と言える覚悟ができる。皆さんも一緒にいい仲間として成長していきたいと思います」と、エールを送ります。しなやかな女性経営者たちの言葉に、新たな視点と勇気を得ることができたセッションでした。
大阪府出身。大学卒業後、三菱商事、メリルリンチ日本証券で、事務職から営業職、マネジメントとその時々の縁に導かれてキャリアチェンジ。2014年1月よりCBSフィナンシャルサービス株式会社代表取締役社長。破綻の危機に陥っていた同社を、美容医療・健康分野に特化した信販会社に転換させ再生を図る。2020年3月慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了、経営学修士。2021年11月第2回東京女性経営者アワード継続成長部門受賞。CBSフィナンシャルサービスは、その顧客・サービス提供事業者・同社従業員ともに女性が大多数を占めており、「女性による女性のための金融サービス」として、「美容と健康に自己投資したい消費者」と「サービスする側の中小規模事業者」双方を金融面からサポートしている。
出版社勤務、専業主婦を経て、2000年(株)リクルート入社。ゼクシィ事業部に配属。2006年に首都圏版編集長。出産を経て、2011年統括編集長、2014年メディアプロデュース部部長。2015年(株)リクルートホールディングス ダイバーシティ推進部部長、2016年同ソーシャルエンタープライズ推進室（現サステナビリティトランスフォーメーション部）室長。2019年ソフィアメディ(株)VMS推進本部（現組織開発本部）本部長、2022年2月より現任。
日本美容皮膚科学会・日本皮膚科学会正会員。英国医学会（BSEM）会員。ルボア認定メディカルフィトテラピスト資格取得。東京慈恵会医科大学を卒業後、同大学付属病院で皮膚科勤務を経て、2007年美容皮膚科クリニック「ウォブクリニック中目黒」を開院。シミ・肝斑治療をはじめ、育毛治療、ヒアルロン酸、ボトックス注射・メソセラピー・レーザー治療・ケミカルピーリングなど、メスを使わずに女性の美しさを引き出す、安全かつ効果的なアンチエイジング治療を提供。その丁寧で的確なカウンセリングには定評があり、美容のプロやモデル、女優の顧客も多い。メディアからの取材依頼が絶えず、女性誌を中心とした雑誌媒体やテレビなどでも活躍。化粧品の研究開発も行う。2018年から2019年にかけてイギリス、ロンドンのELIXIR clinicで1年間、BSEM会長Dr.Downingの下、デトックス治療を学ぶ。著書多数。
ダイバーシティの第一人者。1996年から日本最大級のダイバーシティ会議「国際女性ビジネス会議」を企画・プロデュース、2000年から「イー・ウーマン」サイトを中心にダイバーシティ関連のコンサルティング及び研修・講演。組織の多様性と成長性を分析する「ダイバーシティインデックス」を開発。また、内閣府男女共同参画会議、厚生労働省をはじめ多くの政府審議会等の委員を務める。世界銀行「女性起業家資金イニシアティブ（We-Fi）」日本代表。日本代表としてAPEC、OECD等国内外での講演も通算1,700回以上。神奈川県横浜市生まれ。上智大学外国語学部比較文化学科卒業。米国ニューヨーク州エルマイラ大学に留学。2008年名誉文学博士号授与。
| 開催日時 | 2022年11月28日（月）13:00-18:30 |
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| 会場 | 完全オンラインでの開催（ZoomとYouTubeによるライブ配信） |
| 対象 | 企業・団体の代表者、経営者層、個人事業主など（男女不問） |
