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WEB連載

先輩起業家インタビュー 〜資金調達編〜(3/3)



融資を受けて困ったことは1つもない

インタビュー
岡美智子

3回目はこれから融資を受けたい人に向け、みなさんにアドバイスを聞きたいと思います。まず大桃さん、「今だから分かる」「こうしておけば良かった」と思うことはありますか。

大桃

「もっと早く融資を受けておけば良かった」の一言ですね。受けてみて困ったこと、大変だったことは1つもありません。

岡美智子

阪根さんはいかがですか。

インタビュー
坂根

私も融資を受けて事業を加速できたので、振り返ってみても良いことしかありません。会社員の経験しかなかった自分にとって「融資」は「借金」でもあるし、勇気がいる決断でした。でも、今になるともっと早く融資を申し込んでいれば、最初の2年間のビジネス成長をもっとショートカットできたのではないかと思います。
後悔といえば融資を受けるタイミングで「ある程度の自己資金が必要だ」と初めて知ったので、会社勤めのうちにもっと貯蓄しておけば良かったと思ったぐらいですね。

融資を受ける際のポイント3つ

インタビュー
若林

東京都は創業期の融資制度が充実していますし、何より大きいのは融資の際に連帯保証人を付けなくてもいいという動きです。もし、万が一返済できないという事態になっても、法人化していれば創業者本人にはリスクが少ないので、借り入れをする際の心理的ハードルを下げられます。融資制度の動向を調べておくと安心ですね。
ちなみに創業期の融資審査には3つのポイントがあります。1つ目は創業者の経歴やバックグラウンドと事業の関連性。例えば、弁護士歴20年のベテランの方が飲食店経営となると、いくら専門性があっても厳しいかもしれません。2つ目は先ほど阪根さんがおっしゃった自己資金です。新規事業に対して、どれだけ経済的な準備をしてきたか、これまでのキャリアを通じて稼ぐ力があったかを見られます。3つ目は今後の事業計画です。今後、どのような事業展開になるか、それがどのぐらいの解像度を持って把握しているかを融資担当者は見ています。
4期目以降になると「決算書」で判断されますが、3期目ぐらいまでの創業期は「未来志向」で審査してもらえる時期ともいえます。
大桃さんや阪根さんのように、しっかりお勤めになったうえで満を持して起業する方は3つのうち2つが優れているので、早めに融資を受けたほうがいいと思います。反対に学生起業家は職歴が浅く、自己資金も少ないとなると実績を作ってから融資を受けたほうがいいので、人によってタイミングが違います。

大桃

3期目で融資申請して良かったです。知れば知るほど、もっと早く融資を受けていたらと思いますね。

若林

それから今、私が起業家の方に勧めているのは各自治体の特定創業支援等事業です。各自治体で行われている創業セミナーを受けると修了証がもらえ、それを持っているとさまざまな面談が受けられます。例えば、商工会議所の小規模事業者持続化補助金は通常は50万円ですが、修了証があると200万円の補助金に申し込めたり、法人登記の際の登録免許税が半分になったりします。

大桃

5年前より制度がアップグレードされていますね。

岡美智子

各自治体で創業資金融資制度や制度融資もありますよね。面談など所定の手続きをすると、融資がおりやすくなったり、融資保証料の補助がもらえたりします。ただ、その場合は受講期間と融資が必要な時期を調べておいたほうがいいですね。認定後すぐだと融資が間に合わない場合もあるかもしれません。
私もそうですが、一度事業を立ち上げると新しい制度について調べなくなってしまいます。でも、将来的に別の事業を立ち上げるかもしれません。そのときのために常にアンテナを張り、情報をアップデートしておくのは大事ですね。

若林

また、融資を受けて返済実績を積み重ねていくと、次の事業展開のときにも融資を受けやすくなります。融資は一度受けて終わりではなく、実績と信用をミルフィーユのように積み重ねていくものです。

大桃

「信用は積み重ねるもの」という言葉に納得です。私は自分の事業が大好きだし、正しいと思っていますが、社会的に見ても信用してもらわないといけません。融資や創業支援という応援団を増やしていかないといけませんね。

インタビュー

これから融資を受ける人へのアドバイスは

岡美智子

では、「これから融資を受けたい人」に何かアドバイスはありますか。

大桃

実際に融資を受けてみて分かることがたくさんあるので、融資や利子はその勉強代だと思います。資金はあるに越したことはないですし、もしも借りてみたけれども必要がなければ、そのまま返済することもできます。まずは融資を申し込んでみることですね。

坂根

融資に対して不安があるなら、まず周囲で融資を受けている人に聞いてみてはどうでしょうか。私は2〜3人にヒアリングし、起業の全体像をつかみました。WEBのスポットコンサルティングのサービスなどで、融資や資金調達に詳しい人を探してもいいと思います。
それから事業計画書と返済計画をしっかり立てることですね。今後5年で見れば月々の返済額はそこまで大きくないと分かりますし、自分の事業で返済できると分かれば不安が小さくなります。もし、何か問題が発生して返済が止まってしまう場合は新たな計画を立てて提出できますし、そこまで恐れることもありません。東京都は補助金や助成金、金利優遇制度もあり、創業者に優しい自治体です。

岡美智子

結論は「恐れるに足らず」といえますね。ちゃんと事業計画を立て、融資制度を活用すれば、融資は決して怖いものではありません。もしかしたら、融資を受けずにビジネスチャンスを失ってしまうことのほうが怖いかもしれません。みなさん、今日はありがとうございました。

インタビュー
【モデレーター】
岡 美智子
株式会社A&I
代表取締役

石川県出身。立命館大学卒業。在学中に UBC(ブリティッシュコロンビア大学、カナダ)に留学。 卒業後、スターバックスコーヒージャパンに入社。新店舗立ち上げ、人材育成などを経験後、P&G、アストラゼネカ、医療機器メーカー、薬事コンサルと外資系企業で経営企画、マーケティングに携わる。スターバックスコーヒージャパンでストックオプションを得たことがきっかけで始めた株取引の趣味が高じて、独立後に株スクールの講師を務めたのち、2020年2月に株式会社A&Iを創業。「エンジェル投資家の存在が当たり前の社会に」を掲げ、起業家やベンチャーの志を投資家につなぐコミュニティーを運営。iU(情報経営イノベーション専門職大学)客員教授。

大桃 綾子
Dialogue for Everyone株式会社
代表取締役

新潟県生まれ。東京外国語大学(中国語)卒業、慶応義塾大学大学院社会学研究科修了。三井化学にて人事・事業企画に約10年従事。工場からキャリアをスタートし、国内外関係会社を含むグループ全体の人材開発、中国、韓国での新会社設立プロジェクト、赤字事業の再構築などに携わる。2020年に40代50代ミドルシニアに特化したキャリア自律×地方への越境学習事業を創業。組織の中で、年齢を重ねるだけで、活躍する場が限られることに「もったいない」と感じ、もう一度持てる力を存分に発揮するきっかけを作り、「年を取るってかっこいい」と思える日本社会にしたい。地方企業×都市部人材副業兼業マッチングサービスJOINS取締役(2020年4月〜21年9月)、国家資格キャリアコンサルタント、新潟県にいがた産業ビジョン検討委員など。プライベートは2児の母。

阪根 嘉苗
アジアンブリッジ株式会社
代表取締役社長

早稲田大学大学院卒業後、新卒にてリクルート(旧リクルートエージェント)に入社し、営業、人事部を経て、アジアンブリッジを創業。起業当初は日系スタートアップの海外進出コンサルと海外拠点の責任者として事業の立ち上げを行う。その後、2016年から今のアジアンブリッジのメイン事業となる日本ブランドの海外流通支援事業をスタート。日本企業の国境を越え流通の最大化に貢献するスペシャリストとして、ECのみならずリアル店舗などの現地マルチチャネルの流通を通じて最適な展開を提案。日本のビューティー&ヘルスケアのブランドを中心にのべ100億以上の流通を実現してきた。NBC国際アントレプレナー賞受賞、JETRO認定コンサルタント。
日本企業の台湾・タイをはじめとするコンサルティング事業。

若林 哲平
株式会社INQ
代表取締役CEO

1980年東京都清瀬市生まれ、神奈川県相模原市出身。青山学院大学経営学部卒。
スタートアップの融資支援のINQ代表取締役CEO。VC・エンジェル投資家、起業家からのスタートアップをご紹介頂き、融資による資金調達を累計1200件超、87億円以上を支援。東京都ASAC・NEXsTOKYOなどの自治体のアクセラレーションプログラムのメンターのほか、複数のスタートアップの社外CFOを務める。 趣味は音楽とお弁当作り。4児の父。

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