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WEB連載

先輩起業家インタビュー 〜資金調達編〜(1/3)

「いつか起業したい」という夢を叶え、いざ創業というときに融資を受けるかどうか悩む女性も多いのではないでしょうか。初めての融資となると「借りるのが怖い」「ちゃんと返せるか不安」という心配もあります。そこで先輩起業家たちに融資のリアルを聞きました。

【モデレーター】
岡 美智子
株式会社A&I
代表取締役

石川県出身。立命館大学卒業。在学中に UBC(ブリティッシュコロンビア大学、カナダ)に留学。 卒業後、スターバックスコーヒージャパンに入社。新店舗立ち上げ、人材育成などを経験後、P&G、アストラゼネカ、医療機器メーカー、薬事コンサルと外資系企業で経営企画、マーケティングに携わる。スターバックスコーヒージャパンでストックオプションを得たことがきっかけで始めた株取引の趣味が高じて、独立後に株スクールの講師を務めたのち、2020年2月に株式会社A&Iを創業。「エンジェル投資家の存在が当たり前の社会に」を掲げ、起業家やベンチャーの志を投資家につなぐコミュニティーを運営。iU(情報経営イノベーション専門職大学)客員教授。

大桃 綾子
Dialogue for Everyone株式会社
代表取締役

新潟県生まれ。東京外国語大学(中国語)卒業、慶応義塾大学大学院社会学研究科修了。三井化学にて人事・事業企画に約10年従事。工場からキャリアをスタートし、国内外関係会社を含むグループ全体の人材開発、中国、韓国での新会社設立プロジェクト、赤字事業の再構築などに携わる。2020年に40代50代ミドルシニアに特化したキャリア自律×地方への越境学習事業を創業。組織の中で、年齢を重ねるだけで、活躍する場が限られることに「もったいない」と感じ、もう一度持てる力を存分に発揮するきっかけを作り、「年を取るってかっこいい」と思える日本社会にしたい。地方企業×都市部人材副業兼業マッチングサービスJOINS取締役(2020年4月〜21年9月)、国家資格キャリアコンサルタント、新潟県にいがた産業ビジョン検討委員など。プライベートは2児の母。

阪根 嘉苗
アジアンブリッジ株式会社
代表取締役社長

早稲田大学大学院卒業後、新卒にてリクルート(旧リクルートエージェント)に入社し、営業、人事部を経て、アジアンブリッジを創業。起業当初は日系スタートアップの海外進出コンサルと海外拠点の責任者として事業の立ち上げを行う。その後、2016年から今のアジアンブリッジのメイン事業となる日本ブランドの海外流通支援事業をスタート。日本企業の国境を越え流通の最大化に貢献するスペシャリストとして、ECのみならずリアル店舗などの現地マルチチャネルの流通を通じて最適な展開を提案。日本のビューティー&ヘルスケアのブランドを中心にのべ100億以上の流通を実現してきた。NBC国際アントレプレナー賞受賞、JETRO認定コンサルタント。
日本企業の台湾・タイをはじめとするコンサルティング事業。

若林 哲平
株式会社INQ
代表取締役CEO

1980年東京都清瀬市生まれ、神奈川県相模原市出身。青山学院大学経営学部卒。
スタートアップの融資支援のINQ代表取締役CEO。VC・エンジェル投資家、起業家からのスタートアップをご紹介頂き、融資による資金調達を累計1200件超、87億円以上を支援。東京都ASAC・NEXsTOKYOなどの自治体のアクセラレーションプログラムのメンターのほか、複数のスタートアップの社外CFOを務める。 趣味は音楽とお弁当作り。4児の父。



会社員を経て起業したきっかけは

インタビュー
岡美智子

やはり「融資」と聞くと最初は「怖い」というイメージがあるのか、2023年の「東京都女性経営者実態調査 調査結果・考察(サマリー)」によると、「借り入れを行っていない」という回答が約半数。その理由としては「必要ない」「融資を受けてまで拡大しようと思わない」という声が上がりました。
そこで今回は実際に起業し、融資を受けた大桃綾子さん、阪根嘉苗さん、そして融資を支援する側として若林哲平さんにお話を聞きたいと思います。まずは大桃さんが起業されたきっかけは何でしたか。

大桃

当社は50代向けの「越境学習」という事業をしています。「越境学習」を初めて耳にする人も多いと思いますが、今の仕事を続けながら、別の組織で経験スキルを活かして一緒に働いてみることで、視野を広げ新たな知見やスキルを獲得する新たな学習スタイルです。特に50代に特化しているのも理由があり、いまや日本では働く人の6割以上が45歳以上です。この人たちに頑張ってもらわないと日本が沈んでしまうという危機感があり、うっかり起業してしまいました。

岡美智子

うっかり(笑)。でも、勢いと思いを持って起業する方は多いですね。

大桃

私が以前、大手化学メーカーで働いていたときは社員の3分の1が50代でした。大きな組織ではどうしても後進に道を譲るタイミングがあります。でも、その譲ってからの会社員人生が長く、力を持て余してしまう。その状態が非常にもったいなく、人事担当としていろいろな取り組みをしたのですが、うまくいきませんでした。それで自ら起業しました。

インタビュー
岡美智子

そうだったんですね。阪根さんが起業したきっかけも教えてください。

インタビュー
坂根

私にとって幼い頃から「起業」や「会社経営」は身近でした。というのも母や親戚が会社経営をしていて、みんながいきいきと働く背中を見て、かっこいいと思っていたんです。いつかは自分も起業すると思っていたので、その修業先となりそうだという観点でリクルートエージェントに就職しました。08年にリーマンショックが起こり、社内で早期退職制度の募集がありました。「起業するなら今しかない」と手を挙げ、退職金を元手に会社を登記しました。事業内容を考えたとき、日本のおもてなしの心、ものづくりにおける細部へのこだわりを海外に紹介したいと思いました。そこで「日本の商品をもっと多くのアジアに届ける架け橋となる」というミッションを掲げ、創業しました。大桃さんは「越境」、私は「国境」を越えたビジネスですね。

若林

「越境」というネーミングがいいですよね。可能性を感じます。

起業当初は融資まで考えが及ばなかった

岡美智子

大桃さん、阪根さんは起業されましたが、最初にどんな行動を起こしましたか。当初から融資は考えていましたか。

大桃

先ほど阪根さんが「起業が身近だった」とおっしゃいましたが、私はその正反対でした。祖父母は新潟のコシヒカリ農家ですし、親戚は教員や公務員がほとんど。まず民間企業に勤めた時点で驚かれ、「起業」となると異端児扱いでした。起業に関する情報がなく、いろいろとリサーチするなかで「公的機関が一番安心だ」と思い、起業・創業の窓口である「TOKYO創業ステーション」に行きました。私が行ったのは丸の内です。最初は事業を始めることに精一杯で、正直なところ融資を受けることまで考えが及びませんでした。

岡美智子

公的機関は安心感がありますよね。阪根さんは?

岡美智子

まずはWEBで情報を検索し、融資を受けたことがある起業家の先輩にヒアリングしました。それから自社のサービス資料と融資申込書を作りました。それからベンチャー企業の融資支援を成功報酬で行っている企業に問い合わせ、資料作りからサポートしてもらい、無事に希望の融資額を得られました。その担当者の方とは長いお付き合いになり、後に弊社の管理部長になってもらいました。
事業展開も同時に進め、「売れる商品は何でも売ろう」と思い、銀座や歌舞伎町など飲食店が多いエリアに飛び込み営業をしたり、訪日外国人や観光客向けの「多言語メニュー」を作るサービスを手がけたり、海外のテレビショッピングに日本製品を売り込んだり、日本企業が海外の子会社を立ち上げる際のコンサルティング支援などもしていました。

岡美智子

起業当初からパワフルに動かれたんですね。

実は創業期は融資に最適な時期

インタビュー
若林

今、大桃さんが「最初は融資のことまで考えが及ばなかった」とおっしゃいましたが、実は創業期は融資を受けるのに最適なんです。そこが日本の創業融資制度の優れているところでもあります。
本来なら創業間もない時期は、一番不確実性が高いですよね。例えば、大桃さんであれば「越境」というネーミングが顧客の心に響き、サービスとして展開できるかどうかはまだ不確実です。でも、日本政策金融公庫などは本来ならリスクがあって借りにくい時期に、事業主のこれまでの経歴や事業内容を見て、融資をしてくれます。こうした制度は諸外国を見ても珍しいと思います。

岡美智子

アメリカなどはスタートアップも多いし、融資制度が充実しているイメージですが。

若林

融資による資金調達は盛んですが、金利もしっかり高いですね。日本の公的機関の融資は良心的ですし、起業を後押ししてくれるので、こちらを使わない手はないと思います。

岡美智子

なるほど、そうなんですね。次はみなさんに実際の融資状況を聞きたいと思います。

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