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岩崎 裕美子さんお写真01
株式会社ランクアップ 岩崎 裕美子さんインタビュー

「自分がずっと昔から叶えたかった、絶対に諦めたくなかった『女性が活躍できる会社』をつくれたので、今回のこの賞は私にとってとても思い入れがあります」と授賞式で語った第5回東京女性経営者アワード[持続経営部門]受賞の株式会社ランクアップ代表取締役の岩崎 裕美子さんを取材しました。

東京女性経営者アワード
持続経営部門受賞

「悩み解決カンパニー」として世界の人々を幸せにしたい
株式会社ランクアップ 代表取締役 
岩崎 裕美子さん

2025.03.07

「たった一人の悩みを解決することで、世界中の人たちの幸せに貢献する」をミッションに『マナラ ホットクレンジングゲル』をはじめとした化粧品や健康食品などを開発・販売している株式会社ランクアップ。「化粧品に関しては全くの素人だった」という岩崎さんが起業した経緯と軌跡について語っていただきました。

10歳以上も老けて見られた肌が起業の原点

岩崎 裕美子さんお写真02

私はランクアップを立ち上げる前は広告代理店で働いていました。営業としてトップの成績を上げ、1999年からは取締役営業本部長として、7年で売上を20億円まで成長させました。やりがいは大きかったのですが、とにかく過酷な労働環境で社員の離職が止まらず……私自身もこのままでは子どもを持てないと思い、退職して37歳で起業しました。このときに「出産しても女性が活躍し続けられる会社をつくりたい」と心に決めました。現在100人ほどいる社員のうち8割が女性です。そのうちの半分の40人ほどがワーキングマザーで、子どもの数は60人を超えています。今回の受賞は私たちの会社が「子育てしながら働ける会社」だと認めてもらえたようで、とても嬉しく思っています。

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ランクアップは「たった一人の悩みを解決することで、世界中の人たちの幸せに貢献する」をミッションとして創業しました。最初のミッションは私自身の「10歳以上も老けて見られる」という肌の悩みを解決することでした。広告代理店で激務が続いていた私は、クライアントから「えっ!岩崎さんってまだ35歳だったの!?」と驚かれるほど肌が荒れていたのです。

研究者に「最高傑作を私につくってください」と訴えた

肌荒れの原因は、多忙な毎日でもササッとメイクを落とせる洗浄力の強すぎるクレンジングにあるかもしれない。美容液でクレンジングをつくれば、肌がきれいになるかもしれない。そう考えた私は自分自身が心から納得できるクレンジングをつくりたいと思い、広告代理店を辞め、ランクアップを立ち上げました。とはいえ、化粧品に関しては全くの素人で、何の人脈もありません。当時は今ほどインターネットが発達しておらず、化粧品の製造工程を調べることは暗闇を手探りで進むようなものでした。大量に既存の化粧品を買い込んでは箱の裏に書かれている製造元に電話をかけ続けました。「美容液でクレンジングをつくってください」と。

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ところが、製造元からは「ベンチマークしているような他社商品を持って来てください」とよく言われました。私が「ベンチマークしている製品はありません。マネしたいわけではなく、これまでにないクレンジングをつくりたいのです」と返すと、「美容液を原料にクレンジングをつくるなんて原価が高すぎます」「クレンジングで肌はきれいになりませんよ」と取り合ってもらえませんでした。しかし、どんなに断られ続けても私は諦めませんでした。「あなたの研究史上、最高傑作のクレンジングを私につくってください」と訴え続け、ようやく共感してくれる研究者に出会うことができました。そしてついに『マナラ ホットクレンジングゲル』が誕生しました。

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通信販売で発売したところ、口コミで話題が広がり、今では累計売上本数2600万本(2024年12月時点)、累計愛用者数は500万人(2024年7月時点)という大ヒット商品となりました。愛用者の方からは「肌がきれいになって自信が生まれ、初めて接客業に挑戦しました」「彼ができて結婚しました」といった喜びの声が寄せられています。私の「たった一人の悩み」が「みんなの幸せ」につながったと思うと、本当に嬉しいです。
今も私たちは流行や売れ筋商品には興味がなく、「たった一人の悩み」に向き合い、誠実に商品やサービスを展開しています。「脚をスッキリみせたい」という社員の悩みに応えた着圧タイツ、「子育てで疲弊している」という社員の声から開発したニンニクのサプリメント、「理想的な学童がない」という社員の困りごとから誕生した学童施設もあります。

研修で泣き出した社員に謝ったことも

ランクアップは創業以来、コロナ禍を除いて、右肩上がりの業績が続いています。ただ、業績が好調になればなるほど、社内の雰囲気が暗く、沈んでいった時期がありました。原因は私と副社長で社内方針から商品開発まで、何もかも決めていたからです。
社員は何百倍もの倍率の採用試験を経て入社するほど優秀なのに、仕事を任せてもらえない。私が広告代理店時代にノルマに苦しんだために弊社にはノルマがありませんが、そのため目標もやりがいも見つけにくい。給料や福利厚生はわりと恵まれているため、「こんな会社、辞めてやる!」という決心がつかない。そんな中で社員は一様に暗く、活発さがありませんでした。転機となったのはそんな状況を打開したいと思い、ある社外研修を社員に受けさせた時です。その研修で「自分の強みを活かして会社に貢献できることは何か」という課題が出ました。ところがそれを聞いた社員たちは「私は何も会社に貢献できていない」「期待されていない」と泣き出してしまいました。研修講師から「岩崎さん、会場に来て社員に謝ってください」と電話があり、その場に駆けつけ、社員に謝ったことがありました。

それ以来、私は自分で何でもやるのではなく、社員への権限移譲を意識するようになりました。例えば、「改善提案」を制度化して、社内をどのように改善すればいいか、社員の声を直接聞きました。提案の内容は自由で、どんな些細なことも提出可能としました。「社員証を入れるカードケースがほしい」「手帳代を支給してほしい」「ブルーライトをカットする眼鏡がほしい」といった意見を採用したこともあります。
次第に社員からは「イベントを開きたい」「通信販売だけでなく店舗販売もしたい」「海外事業も展開したい」といった声があがるようになり、社員の積極的な姿勢が今の好業績につながっています。

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順調に右肩上がりの成長が続いていたのですが、コロナ禍が私たちを襲いました。ステイホームや在宅勤務でメイクをする人が減り、10億円の減収に見舞われました。予想外の事態で不安を感じていたところ、社員から「創業15周年のオンラインイベントを開きたい」と提案が上がりました。マナラのユーザーたちからは「マナラは私の肌の守り神です」「会社がつぶれないように頑張って」と応援をいただき、改めて私たちの原動力はお客様の幸せなのだと実感しました。
ランクアップは25年6月で創業20周年を迎えますが、やはり企業はどれだけ業績がよくても数年で途絶えてしまってはいけない。お客様を幸せにし、長くお客様に支えていただくことが大事です。会社経営が長くなればなるほど、その思いは強くなっていきます。

人生は毎日がオーディション

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これからの若い人たちに伝えたいことがあるとすれば、女性も男性もあきらめないでコツコツと頑張ることですね。努力を続けていれば誰にでも必ず活躍の場は巡ってきます。「この仕事がしたい」「転職がしたい」と思ったときに「あの人はいつも頑張っているから」と引き上げてくれる人がいますから、「人生は毎日がオーディション」と思って、頑張ってほしいですね。

岩崎 裕美子さんお写真05

起業を目指す人にアドバイスするとしたら、「早いほうがいい」。リーマン・ショックがあったり、新型コロナウイルスがあったり、世界では何が起きるか分かりません。そのような突発的な出来事に見舞われると、数年は起業できなくなるリスクが生まれます。私も今になって振り返ると、もっと早く起業すればよかったかもしれないですね。ただ、会社員時代に苦労したことで社員の気持ちも分かりますから、人生はすべてが糧になりますね。
これからもみなさんの幸せを追求するべく、頑張っていきたいと思います。

岩崎様お写真
岩崎 裕美子
株式会社ランクアップ
代表取締役

1968年北海道生まれ。藤女子短期大学卒業後、JTBに入社し、海外旅行課に配属。その後、ベンチャーの広告代理店に転職し、新規開拓営業としてトップの成績を上げ、99年から取締役営業本部長として20人の営業をまとめ7年で売上20億円まで成長させる。しかし、長時間労働による社員の離職に悩んだ経験から、生産性の高い組織、経営を目指し、株式会社ランクアップ設立。16年には東京ライフワークバランス認定企業の長時間労働削減取組部門に選ばれる。オリジナルブランド「マナラ化粧品」は、ヒット製品である「ホットクレンジングゲル」を中心に多くの女性から支持され、17年には、売上が100億円を超える。
著書に『ほとんどの社員が17時に帰る10年連続右肩上がりの会社』。

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