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セミナー

TOKYO女性経営者塾 by N E W
第1回 起業家としての考え方(マインドセット、プレゼンス)を学ぶ

日時 2024年7月8日(月)14:00〜16:00
講師 株式会社morich
代表取締役 All Rounder Agent
森本 千賀子
進行 一般社団法人WE association 理事
株式会社A&CO 代表取締役社長
三竹 麻子

最後はやっぱり人間力! 成功する起業家になるためには

「TOKYO女性経営者塾 by N E W」テーマ型セミナー、2024年度1回目のテーマは「起業家としての考え方(マインドセット、プレゼンス)を学ぶ」です。オールラウンダーエージェントとして、人材紹介事業やビジネスマッチング、またスタートアップ支援など様々な事業を展開する、株式会社morichの代表取締役 森本 千賀子さんに、起業家として押さえておきたいマインドセットや考え方などについてお話しいただきました。

会社員時代から続けてきた副業で自分の希少性を上げる

セミナーの翌日にちょうどお誕生日を迎えられたという森本さん。50歳を過ぎてもパワフルにいきいきと働くその秘訣は、どのようなマインドにあるのでしょうか。

「私はリクルートで従業員として25年間働いていました。リクルートはいつか独立することを意識しながら仕事をする企業ということもあり、7年前に自分のあだ名にちなんだ会社名『株式会社morich(モリチ)』を立ち上げて独立しました。人生100年時代ということで私も100歳を前提に人生設計をしていて、今はちょうど復路です。いろいろな方にサポートしていただきながら今日の自分があると思い、世の中の役に立つこと、子どもたちの未来のためといった思いで毎日一生懸命やらせてもらっています」

森本さんはリクルート時代から副業をしており、気がついたときには副業のほうが本業よりもウエイトが高くなっていたのだとか。そこから、「自分じゃなきゃできないことに自分の時間をフォーカスしよう」と考えて独立に至ったといいます。

「転職エージェントを33年間やってきましたが、私がこの世界に踏み込んだときは、まだ終身雇用が当たり前の時代。でも今は、会社員をしながら副業もできるし、フリーランスで複数の名刺を持ちながら働くこともできます。現在私は、そういったさまざまなキャリアの形があるということを世の中に伝えていく仕事をさせていただいています。社外取締役やアドバイザー、アンバサダーといったかたちで、20枚くらい名刺を持っている私からお伝えしたいのは、ぜひ自分のコアなキャリアひとつに絞るのではなく、複数キャリアを持っていただきたいということ。そこで自分の希少性や価値が増すと思っています」

モリチ流 起業家のマインドセット 3つのポイント

続いて、起業家として大切なマインドセットについて、ポイントを3つに絞って講義していただきました。

1. ポータブルスキル
「今はVUCA(ブーカ)時代。未来の見通しがきかず、不確実・不明瞭な時代ですよね。情報はすぐ古くなって書き換えられていくため、専門特化したテクニカルスキルでは追いつかない部分があります。ですので、環境が変わっても持ち運びできるポータブルスキルが大切になってきます。ポータブルスキルの一つ目は、『コンセプチュアルスキル』。これは複雑なことを簡単にする、構造的に物事を見出し表現するチカラのことです。そして二つ目が『ヒューマンスキル』、要は人間力。実はこれがとても大切です。私の周りの投資家さんたちも、何をもって投資するかを決めるかというとビジネスモデルでもなくテクニカルスキルでもなく、ヒューマンスキルだと口を揃えて言います。リーダーシップであるとか、何でもポジティブに捉える思考の癖であるとか、調べるといろいろありますが、こういったものには原理原則があります。考え方などは実はロジックで解決できます。たとえば、私はどうしてもネガティブ思考だという場合でも、心理学や脳科学のトレーニングを積めばポジティブマインドに変わる。みなさんにはぜひ、そういったものに興味を持って学ぶ時間をとっていただきたいと思います。学んだものを活かしながら変えていく学習力も重要ですね。
そして最後が、『セルフブランディング』。まず自分にタグ付けをしてみましょう。今ご自身がどういうタグを付けられているか、それからどういうタグを付けていきたいか。それを考えるうえで重要なのは、『希少性』『市場性』『再現性』の3つです。競合がたくさんいるところでタグを付けてもブランドにはなりませんよね。たとえば私の知り合いに保育士をしながらヨガインストラクターをして動画サイトでバズっている人がいます。この保育士×ヨガインストラクターというのも、希少性の掛け算です。ただ、希少なだけじゃなく市場から求められているということも必要。さらに、誰がどこでやっても同じように再現できる再現性。これが揃わないと、世の中に発信しても共感が得られません。『私でもできるかも』『わかるわかる』と思ってもらうことが大切です。そして、この発信をとにかくアウトプットし続けることで共感を呼び、みなさん自身が『私はこの分野のエバンジェリストだ』と胸を張れるようなものをつくっていただきたいと思います。」

2. 人脈・ネットワーク
「起業して7年になる私が、起業家にとってこれ以上に必要なものはないと思うのが、人脈とネットワークです。人脈というと、『自分が困ったときに頼れる人がどれだけいるか』と考えがちなのですが、実は『困ったときに自分を頼りにしてくれる人』なんです。身内はもちろん、友だちやその家族、先輩や後輩でもいいので、何か困ったときにすぐ駆けつけてあげられる人であっていただきたいと思います。
以前は、スモールワールド現象(会いたい人には6人を介すれば会える)という統計学的な実証データがありました。でも今はインターネットが当たり前の時代でもあり、実は2.5人先に会いたい人がいる計算になります。日頃から自分が会いたい、つながりたい人を具体的にイメージして、『こんな人に会いたいです』とアウトプットしてください。私はお正月に会いたい人リストを作って、それを周りに発信しています。
それから、『前向きな人と出会える場所に足を運ぶ』ということ。量子力学的にいうと、前向きなオーラが出ている人の隣に座るだけで、そのポジティブさが15%伝播するそうです。
1回でも名刺交換したり何かしら面識を持ったりするだけで、5年経っても10年経っても薄いながらにつながれるものです。そのため、人脈・ネットワークづくりには、お金と時間の投資を惜しまないということも大切ですね。」

3. セレンディピティ(運)
「最後は、セレンディピティです。53年間私がこだわってきたことは、『NOと言わないこと』。できません、やりませんというのは簡単ですが、それだとご縁や機会を逃してしまう。そのため、どうしたらできるかを考えます。たとえばスケジュールが合わないのなら、行ける日を提案する。私以上にもっと最適な人を紹介する。そうやってプラスアルファの提案をすることで計画的偶発性理論にもつながっていきます。これは、人生の約8割は偶発的な偶然の結果によって決定されるという考え方。自分の人生にとってプラスになるセレンディピティ(幸運)を引き寄せていただきたいと思います」

このあと、セレンディピティを呼び込むマインドセットについての講義が続きます。
森本さんから発せられるポジティブなオーラや前向きな考え方などは、森本さんの生まれ持った性格ではなく、実は原理原則があるという考え方が印象的でした。

何事もギブファーストでやることがネットワーキングの第一歩

講義のあとは、トークショーです。森本さんと進行の三竹さん、そしてゲストの岡さんを交えた豪華なひとときとなりました。

森本さんのネットワーキングの第一歩とはどのようなものだったのでしょうか。
「私の場合は、身近な人脈から始めました。リクルート時代に、社内で人脈ができずして外でできるわけないと思って、社内においてギブファーストで何かできないかと考えました。そこで、私がやっていて良かったことで、なおかつ他の人でも真似できる再現性を意識したものを、勉強会というかたちでスタートしました。
昼休みにおしゃべりしながらランチをするぐらいだったら、私の勉強会がありますから来てください!とチラシを作って。でも、来てくれたのは後輩3人だけでした。とにかく良かったと思ってもらえるように、全力で1時間話をしたら、すごく好評で。そこから口コミで広がっていって、次はある部門で呼ばれて、次は支社で呼ばれて、次はリクルートグループを超えて人材業界で呼ばれて……と、結果的にさまざまなところで呼んでいただけるようになりました」

これにはお二人も大きくうなずき、「何事もやってみないとわからない、続けることで得られるものや気付きがいっぱいある」と三竹さん。
そして人脈・ネットワークづくりの一環で、人と会って話すときに心がけるポイントにも話は及びました。

「話術についてはさまざまな本も出ていますが、何より大前提として大切に思っているのが、相手との関係において、『モリチになら何を話しても大丈夫』と思ってもらえるということです。心理的安全な関係構築ですね。『こんなこと言ったら気を悪くするのではないかな』なんて思っていたら、話す言葉も選んじゃいますよね。モリチになら受け止めてもらえるという安全な環境づくりを大切にしています」

安全だと思ってもらうために欠かせないのが、笑顔なのだとか。

「表情をチェックすることは大切。私はデスクに鏡を置いていて、どういう表情で仕事をしているかチェックしています。こういうセミナーでお話させていただくときも、前のめりかつ笑顔で話を聞いてくれている人がいると、こちらのポテンシャルも引き出されます(笑)。笑顔は相手をリラックスさせて本当の気持ちを引き出す武器ですよ。とにかく常に笑顔で接するだけで、人は引き寄せられていきます。」

自分の時間をつくるための具体的な方法とは

質疑応答では、オンラインの参加者からも積極的に質問がありました。
印象的だったのが、無料のボランティアをどこまで受けるか、時間の制約に悩む参加者への森本さんの回答でした。

「やっぱり余裕がないと、無料のセミナーに出ている場合じゃない、飲み会をしている場合じゃないみたいなことが起きがち。できるだけ自分のなかに余裕というかスペースがないと、入るものも入ってきませんよね。そのためにはいかに時間をつくるかです。
私が普段から意識していることは『自分がどうしてもやりたいこと』と『私じゃないと絶対ダメなこと』だけに自分の時間とエネルギーをフォーカスして、それ以外のものは外出しするということ。この7年は本当にそうでした。仕事もそうだし、家事や育児もそう。結果として、私の息子たちは料理男子に育ちました。できるだけ自分の時間的、心理的なスペースを空けるための時間をつくるようにすることがおすすめです。
あとは、生産性を上げるための環境や時間を見つけること。私の場合は朝活です。朝早めに起きていろいろこなすのが、私にとってとても生産性の上がる環境でした。人によって時間帯や環境は変わりますので、自分が集中できるルーティーンの環境を見つけていただくと生産性がぐっと上がると思います。」

何でも自分で抱え込みがちな女性ならではの悩みを、パッと晴らしてくれるような回答でした。今の時代は便利なツールもたくさんあるため、自分にあったものを活用することで効率的に生産性が上げられそうです。

質疑応答のあとは、恒例のネットワーキング。今回は現地参加の皆さまのみで行われました。
森本さんのポジティブなオーラが伝播し、とても良い雰囲気のなかセミナーは終了しました。

森本 千賀子
株式会社morich
代表取締役 All Rounder Agent

現リクルート入社。CxOクラスの採用支援を中心に、4万名超の求職者と接点を持ち2,500名超の転職に携わる。
リクルートでは、累計売上実績歴代トップ、全社MVP等受賞歴30回超。
2017年 株式会社morich設立。人材紹介事業の他、スタートアップ支援や
ビジネスマッチング等、多様な事業を展開。NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」
「ガイアの夜明け」出演、各種メディア連載や『本気の転職』等十数冊の著書執筆、講演多数。
社外取締役・NPO理事・顧問、各種行政・自治体委員等も歴任し「パラレルキャリア」を
意識した多様な働き方を体現。文科省「アントレプレナーシップ推進大使」任命。二男の母。

三竹 麻子
一般社団法人WE association 理事​
株式会社A&CO代表取締役社長

KDDI、マイクロソフト、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て独立、株式会社A&COを創業。
社会人大学院の女性キャリア支援からスタートし、キャリアコーチサービス「Good Coach」を運営。企業の女性管理職育成や男性管理職のマインドセットにコーチングで成果をあげてきた。
2023年業界専門紙数社と一般社団法人WE associationを設立、DE&Iに関する企業支援の幅を広げている。

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